最高エネルギー宇宙線の観測(科学絵本)

 およそ100年前の1914年のこと、地球の中から放射線(ほうしゃせん)が出ていることを確かめるために、オーストリアの科学者・ヘスさんが気球に乗って上空に行くほど放射線の量が減ることを確かめようとしました。

​ すると、予想と反し、上空に行くほど放射線の量が増えることを発見しました。これが、宇宙から降ってくる放射線=宇宙線の発見です。

 宇宙線は、電気をおびた粒子なので、宇宙空間をカーブしながら地球に降って来ています。そのため、宇宙線が降って来た方を見ても、宇宙線を出した正体はなく、100年間未だに起源は分かっていません。

 しかし、そんな宇宙線の中でも、「最高エネルギー宇宙線」と呼ばれる、ごくごくまれに降ってくる、とってもエネルギーの高い宇宙線は、ほとんど宇宙空間を曲がらずに地球まで来ていると言われています。その最高エネルギー宇宙線を観測すれば、宇宙線の起源が分かる可能性が高いのです。

 宇宙線は、地球の大気に入ってくると、空気とぶつかって、別の粒子を作り出します。その粒子がまた別の粒子となって、次から次へと粒子が生まれ、シャワーのように私たちのいる地表に粒子が降り注いでいます。1秒に1個は手のひらをミューオンと呼ばれるシャワーの一部である粒子が貫通しています。

 では、起源が分かるとどうなるでしょうか。

 例えば、冬の夜空に輝くオリオン座の星たち。その中の赤い星が有名なベテルギウスです。その赤い光は、そろそろ寿命が近い証です。赤い光がベテルギウスから来ていると分かるから、ベテルギウスが寿命の近い星だと分かるのです。

​ 同様に宇宙線の起源が分かれば、その起源の正体についての情報を私たちは知ることができるのです。

 現在、「テレスコープアレイ実験(TA実験)」という実験では、そのたまにしか降ってこない最高エネルギー宇宙線を観測しており、今後、東京都よりも広い面積があるアメリカの砂漠に装置を1000台並べて、最高エネルギー宇宙線の観測を行なっていきます。

 今のところ、最高エネルギー宇宙線がよく降ってくる方向、というのが分かりつつあります。もう少しで、100年間謎だった宇宙線の起源が見つかり、光で宇宙を見るのと同じように、宇宙線で宇宙を見る時代が来るかもしれません。

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