愛情ホルモン「オキシトシン」の分子作用メカニズム(科学絵本)

 オキシトシンと呼ばれるホルモン。

オキシトシンは私たちの社会の中での行動に影響(えいきょう)を与えていると言われています。

まずは「信頼ゲーム」というゲームをやってみましょう。

ステップ1:

 始めにあなたは1000円を持っています。あなたは□円(自由に決められる)を相手に渡せます。

ステップ2:

 相手の手元にはあなたが渡した□円の3倍が渡ることになっています。そこから相手は△円(相手が自由に決められる)をあなたに返してくれます。

​さて、あなたは自分が多くのお金を手に入れるために、

相手に何円渡しますか?

​ これは、相手をどれだけ信頼できるのか、というゲームになっています。​太郎くんと次郎くんの例を見てみましょう。

​ 相手を信頼できない太郎くん(右の絵の左の人)は、渡したお金が返ってこない可能性があるので、始めから1円も渡さない選択をしました。

 結果的に、太郎くんは最初の1000円を手に入れることができました。​

​ 一方で、相手を信頼した次郎くん(右の絵の左の人。太郎くんの弟。)は1000円を全部相手に渡しました。

​この場合、次の二つの可能性があります。

​​相手が手にした3000円のうち1000円より多くを返してくれる場合①と

相手が期待を裏切り、1円も返してくれず、手元が0円になってしまう場合②です。

​​場合①

場合②

 ​​次郎くんは相手を信頼したことで、損をしてしまう可能性もありますが、兄の太郎くんよりも多くのお金を手に入れる可能性を持つことができました。

 

 実は、次郎くんと同じような選択をした人は、太郎くんと同じような選択をした人よりも体内のオキシトシンの量が多い、ということが、ある実験でわかりました。

 相手を信頼することは、この信頼ゲームに限らず、日常の中でも自分により多くの利益をもたらす可能性を広げます。

 オキシトシンが少なく、人を信頼できない場合、​​日常で、周りの人にビクビクおびえたり、イライラしたり、不安によって便利なものを十分に使えなかったりするかもしれません。

 一方で、オキシトシンが多く、人を信頼できる場合、​​日常で余計なことにおびえたり、イライラしたりせず、便利なものも不安なく活用できることでしょう。

​ 人を信頼する、ということは社会の中で生きて行く上で、とても重要なことで、オキシトシンは人間社会にとって重要な役割を担っているということです。

 さて、このようなオキシトシンですが、人を信頼する、といった気持ちの部分は脳の役割ですので、オキシトシンは脳内に入っていかないと役目を果たしません。

 しかし、脳内に入るには、警備がついた門をくぐらないといけません。オキシトシンだけではその警備に止められてしまうため、どうやってオキシトシンが脳内に入っているのか、

わかっていませんでした。

 今回の研究によって、オキシトシンは、​その門をくぐる許可を得ている別のものたちと一緒に通ることで、脳内に入ることができていたことを発見したのです。

 こうやって脳内に入っていたオキシトシン。人が人を信頼する、という心の部分の鍵を握っています。

 私たちの心のハンドルを握っているのは誰なのでしょうか。人の心・脳はまだまだ謎ばかりです。

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