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最高エネルギー宇宙線の観測 ユタでの生活

1.最高エネルギー宇宙線の観測 in ユタ州

ユタ州の砂漠 手前に写っているのが宇宙線観測装置

 本サイトで初めに紹介した最高エネルギー宇宙線の観測

 本サイト作者は、この観測グループに一時期参加しておりまして、アメリカのユタ州の砂漠にも観測に行っておりました。その時のことを交え、本サイトで紹介した研究成果の補足をこのブログでは行いたいと思います。


2.粒子が降ってくる!

 宇宙線が大気にぶつかって、二次粒子、三次粒子が大量に生成され、シャワーのように粒子が降ってきていることは上記リンクのサイトでも紹介しました。

 

 その中でも電荷を持っているミューオンという粒子をこの実験では観測していました。その観測の流れが以下の通りです。

  1. 荷電粒子が通過すると発光するシンチレータという物質を装置内に設置。

  2. 装置内は光が一切入らないようにしてあるため、装置内が光ったら、それは荷電粒子が降ってきた証拠。

  3. 装置内で光ったことを確認するために、シンチレータに沿って光ファイバーを設置し、光ファイバーの端を光電子増倍管という光を電子に変える装置に接着。

  4. これにより、装置内での光が装置外へ電気信号として伝わる。

  5. 電気信号の電圧の大きさが、装置内の光の量に比例し、装置内の光の量は、装置に降ってきたミューオンの数に比例するので、電気信号の大きさを見ることで、降ってきた粒子数がわかる。

 宇宙線は低いエネルギーであれば頻繁に降ってきているので、この装置で電気信号は常にある状態ですが、高いエネルギーの宇宙線が降ってくるとその電気信号は大きくなり、かつ広範囲の装置で観測されるので、高いエネルギーの宇宙線が降ってきたのだとわかる、という流れです。


 すなわち、電圧の数字の羅列を見て、粒子が降ってきた!とわかるのです。 


3.データをためる

 最高エネルギー宇宙線の観測実験の大きな目的が、その起源天体を発見することであることは本サイトでも紹介しました。


 起源天体を見つけるためには、複数の装置で観測される時間差から割り出される宇宙線が降ってきた方向に偏りがあることを見つけないといけません。

 しかし最高エネルギー宇宙線は滅多に降ってこないので、偏りがある=こっちの方からたくさん来てる、と断定できるほどのデータがなかなかたまらないのです。

 この学問分野では、新しい発見として発表するには、既知の事実から期待される結果からその標準偏差の5倍以上もずれた結果が得られている必要があると言われています。

 

 わかりやすく言うと、ある人が人間のレベルを超えた知能を持っている、という発見を発表するには、その人の知能テストでの偏差値が100を超えてないといけない、ということです。偏差値70や80程度では、「まあまだ平均からずれてるけど、人間だよね」と言われてしまうんです。


 これだけの平均からの違いをデータとして見せないと、新しい発見として説明できないのです。


4.ユタ州での生活


作者がユタで生活したときにお世話になったSUBWAY

 このようにデータをためるために粒子が降ってくるのを待つのが実験なら、ユタでは何をしていたのか。

 主にSUBWAYで食事を。。。

 ユタ州のSUBWAYは日本と違って、「オススメ」がなくて、全部具材を指定しなければならず大変でしたね、、。あとフットロングサイズがすごい大きかったです。それからポテトはポテトチップスだったのがまた驚き。

砂漠の中を車で移動 牛が放牧されている

 と、SUBWAYの話ばかりですが、実際は砂漠を車で移動し、検出装置の点検、修理が主な滞在中の仕事です。


 広大な砂漠に検出装置が500台(本サイトの紹介のとおり、拡大中(2019/5現在))が約1km間隔で並んでます。その検出装置はソーラーパネルで稼働しているため、ソーラーパネルに鳥のフンがついてしまうと電圧が下がり、装置が機能しなくなってしまいます。また、装置外に出ている配線が鳥に噛まれて切れてしまっても、装置が機能しなくなります。


 現地で、電気信号が得られなくなった装置を確認し、地図を見て、1日の中でどの装置にどのルートで回るかを計画して、砂漠に出発。お昼に一度町に戻って来て、すぐにまた砂漠へ、そして夜に町に戻る、という過ごし方をしていました。


5.終わりに

 本研究は、研究成果を得られるために必然的に長時間を要する研究の良い例だと思います。成果を得るためには多くの時間と多くの資金と多くの人数が必要となる研究ですが、その成果は、宇宙の謎に迫るものです。

 

 宇宙という私たち人類がいる空間。全ての始まり。全てを知りたい、と私は思います。



 

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