• Shungo

時間とは何か/時間の流れは存在しない(初!顔出しラジオ)

最終更新: 8月26日

 先日、初めて顔を出しラジオを投稿しました!

内容は「進撃の巨人と時間とエントロピーと量子力学」についてです。

 

 進撃の巨人は今一番私がハマっている漫画です。

第1話のタイトルが「2000年後の君へ」。第122話のタイトルが「2000年前の君から」。

このタイトルから分かるとおり、「時間」を越えた何かが関わってくるストーリーになっています。ラジオの方では、別のシーンを取り上げて、同じく進撃の巨人が「時間」に関する何かテーマを持っていることを感じた、という話をしています。


 そして、「時間」の流れを語る上で、よく出てくるのが熱力学第二法則「エントロピーは増大する」というものです。

 エントロピーは「乱雑さ」とよく言われます。部屋が散らかることを、エントロピーは増大するから必然なんだ、なんて言い訳に使う人もいます。

 でもエントロピーを「乱雑さ」と捉えたところで、あまり時間の流れを説明する上でしっくりきません。そこでラジオの方では、エントロピーを「曖昧さ」という側面から捉えて説明しています。

 ここでも簡単に説明しようと思います。

 トランプを赤か黒かで区別し、赤が上、黒が白に集まるように山にしているとします。ここで、山札をシャッフルすると、赤と黒が混ざっていきます。

 これは乱雑になる、ということなので、エントロピーが増大しています。なので、逆に赤と黒が混ざったところからシャッフルによって徐々に赤と黒がそれぞれ固まる、という方向の変化は起きません。

 ここでエントロピーを「曖昧さ」で捉えなおします。

52枚の山の上26枚に赤、下26枚に黒が並ぶ「場合の数」は幾つでしょうか。

26!x26!になります。(「!」は階乗の意味でここでは26x25x24x23x....3x2x1となります。)

 一方で、赤と黒が混ざって、52枚の山でのカードの並び方の「場合の数」は幾つでしょうか。

52!になります。

どちらが大きいか比べると、前者は約1.6x10^53通り、後者は約8.1x10^67通りとなり、後者の方が0の数が14個も多くなる数、パターン数があることになります。このパターンの数の多い少ないがエントロピーの大小と紐づいているのです。


ここで、赤か黒かでしか区別しないという前提を思い出すと、

赤と黒が上下で分かれている

1.6x10^53パターンのそれぞれの違いは区別できず、

全部同じ、上に赤、下に黒の1パターンに見えます。

同様に、赤と黒が混在している

8.1x10^67パターンも、

混ざった状態、という1パターンにしか見えません。

赤と黒でしか区別できない状況では、

それぞれのパターンの中に、区別できない多数のパターンが含まれており、

このパターンの多さが、「曖昧さ」になります。

「上に赤、下に黒、という状態です」という情報は、状態を1.6x10^53パターンに絞ることができますが、言い換えれば

1.6x10^53パターンの曖昧さが残っており、一つに定まらない、ということです。パターンが多ければ多いほど、一つに定まりにくくなり、曖昧な状態=情報量が少ない状態と言えます。


以上を踏まえて、エントロピーが増大する方向に時間が流れる、というのを言い換えると、

曖昧な状態の方向に時間が流れる、ということになりますが、なんかこれでも違和感があります。何で曖昧になっていくの?と。

ここで更に、時間を流れるものとは考えず、単に「過去」と「未来」という領域があると考えてると、「曖昧さが少ないものから順に過去の領域に入っていく」と捉え直すことができます。

私たちから見て曖昧じゃない、状態が確定しているものは、私たちに認識され、過去として記憶されます。一方で、曖昧で、状態が確定していないものについては、私たちはまだ認識しておらず、記憶にもないので、未来となる、と捉えるのです。


ここで、状態が確定するとかしないとかの話が出てきますが、これは量子力学ともつながってきます。

量子力学では、状態は観測するまで確定しない、と言われており、「シュレディンガーの猫」の話が有名です。

 「観測するまで状態が確定しない。」という考えを、曖昧さの考えを入れて整理すると、「あるAというものの状態が曖昧」、「あるAというものの状態が確定」という2つの状態があった時、「あるAというものの状態が曖昧」なものは未確定だから未来の領域にあり、「あるAというものも状態が確定」しているものは過去の領域にあります。そのままです。

すなわち、曖昧さが無くなり確定したものが、過去の領域に入る、という考えでいくと、観測するまで確定しない=未来のものは確定してない、というのは当然のことになります。

 前段落で言っていることは意味がわからないかもしれません。別の言い方をすると以下のとおりです。

 「観測するまで状態が確定しない」というのは、時間が流れていることを前提としています。過去から未来へ時が流れていく中で、ある時点で観測という行為をし、その観測点より前と後で状態の確定・未確定が変化するという言い方です。しかし、時間の流れというものはなく、状態が確定したものを「過去」、未確定のものを「未来」と私たちが認識している、というだけであれば、量子力学のこの考え方は当然のことで、何にも難しい話ではないのです。


 私たちが「過去」と「未来」を区別して認識しているだけ、という言い方をしましたが、このことについて、よりわかるトランプの例を一つ。

 先ほどは赤と黒を区別する、という話をしましたが、私たちには赤と黒よりも詳しく、数字によって52枚全てを区別することが可能です。52枚全てが区別された状態で、ある特定の並びになる「場合の数」は幾つになるでしょう。

 それは1です。すべてのカードが区別されているので、一つでも入れ替わったら、それは異なる並びになります。赤と黒しか区別しない状況では、赤同士の入れ替えは認識している並びを変化させるものではありませんでした。

 すなわち、カードをすべて区別した場合には、シャッフルしたところでパターンの数は1から変わらず、エントロピーは増えず、曖昧さも常にない、初めから一つに確定している状態になります。先ほどと同じことをしているのに、です。

 ただ解釈の違いだけだろう、と思うかもしれません。確かにこのトランプの例は解釈の違いだけです。赤か黒かを区別する例でも、実際は各カード52枚を区別して、パターン数を計算し、赤か黒かだけを見るなら、このパターンは全部同じ、と解釈していただけでした。解釈の違い以上のことがあれば、時間の流れを変えることができてしまいますが、実際、赤か黒かだけを見るか、数字まで見るか、で時間の流れは変わっていません。実際は数字まで区別した上でパターン数を計算しているからです。私たちの区別できる範囲には、解釈を変える程度のことしかできる余地はないでしょう。

 トランプ52枚を区別するのが、私たちには区別の精度としては限界です。しかし実際はカードそれぞれが膨大な数の原子で構成されていて、仮にそこまで区別することが可能だと、また違ったパターンが見えてくることになります。

 このトランプの例と同じように、私たちの宇宙を支配している物理法則ではこれ以上区別ができないだけで、別の宇宙が存在し、私たちの宇宙とは全く異なる認識の仕方をしている場合は、区別の仕方も異なり、時間の流れは全く私たちの宇宙とは違うかもしれません。


 時間の流れは普遍的に存在するものではなく、あくまで私たちの宇宙において、何かを認識する際に区別できる精度の粗さからくる曖昧さにより、確定か未確定かという間に線が引かれ、その線を挟んで過去と未来が分かれているのだと言えるのです。線の引き方が異なれば、時間の流れも異なるし、全てが確定して見える宇宙では、時間の流れは存在しないのです。


という、時間に関する妄想をしました、というラジオを公開していますので、ご覧ください!

また、時間に関する絵本も作っていきたいと思います。


おしまい。


2020.08.26追記

ビックバン直後の、光が直進できなかった時代は、現時点で未確定なことが多いでしょう。

ということは、ビックバン直後は、私たちにとって未来なのではないでしょうか?


未来のあるもの

過去にあるもの

の中でもそれぞれに順番があるとします。

未来は、もうすぐ確定するものがすぐそこ、近未来にあり、曖昧だらけな物はうんと先の未来にある、という気がします。


一方で過去はどうでしょう。

確定したばかりのものは、ついさっき、直前の過去にあり、うんと昔の出来事は、曖昧さが増していきます。歴史なんかわからないことだらけだし、追記冒頭のビッグバンもそうです。


曖昧さで時間を並べてみると、円状で、現在の部分が曖昧さゼロで、その反対側に遠い未来と過去が重なり曖昧さマックスになるグラデーションのドーナツができるのではないでしょうか。


科学が発展して、全ての曖昧さが消えたとしましょう。そしたらその円は点になるのかま?

過去・現在・未来のない世界。

とんだ妄想でした。


10回の閲覧
  • Facebook
  • Twitter
  • YouTube

©2019 by Science Promotion Portal . Proudly created with Wix.com