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確率と統計 個人と集団①

こんにちは。


新型コロナウイルス感染症の流行が続くこの現在の状況において、世界中でワクチン接種が進んでいるものの、

通常のワクチンの治験期間よりも短かったり、接種後の死亡者について、ワクチン接種との因果関係の判定不能が多かったり、

コロナもワクチンも不安に思っている人が多くいると思います。


一方で、国や世界といった大きな集団の単位で現状を見ると、現時点までの治験から副反応の確率は低いし、

ワクチン接種開始からの死亡率は減少傾向(コロナ感染による死亡率よりもワクチン接種後の死亡率の方が低いということ)であることから、ワクチンはリスクよりも利益が上回る、としてワクチン接種を促進しています。


(もちろんこの集団視点での判断に賛同して動いている個人も多くいますが)

この個人の視点で見た判断と集団の視点で見た判断の違いについて、色々と最近考えていました。


そこで今回は、誰もが義務教育課程の中で学ぶ「確率」の話や、この世界の動きを見る上で重要な「統計」の話、

そして個人の視点と集団の視点の違いについて、記事にしたいと思います。

(長くなるため、3回に分けて掲載します。)


1.確率の問題

確率は、生きていく上で、何かと判断の参考になるものです。

例えば、学校でも習う以下のような問題では、くじ引きを引く順番で当たる確率が変わらないことを数字で示してくれます。

 

10本のうち1本の当たりがあるくじを5人で順番に引き、引いたくじは戻さないとき、1番目に引く人が当たりを引く確率と5番目に引く人が当たりを引く確率を求めよ。

A.

1人目が当たりを引く確率:10本中1本なので、1/10。

5人目が当たりを引く確率:4人目まで全員ハズレを引き、その後当たりを引く確率なので、9/10x8/9x7/8x6/7x1/6=1/10

 

このような確率は、時に、一般的な感覚とズレた結果を示してくれることがあります。

その例を二つ挙げましょう。


一つ目は、「モンティ・ホール問題」です。

 

あなたの前に閉じた3つのドアがあり、1つのドアの後ろには景品が、もう2つのドアの後ろには何もなくハズレとなっている。

あなたが一つのドアを選択した後、このゲームの司会者モンティが、選択しなかった残り2つのドアのうち、ハズレのドアを開けてみせる。

ここで、あなたは、最初に選んだドアを、残っている開いていないドアに変更しても良い、と司会者モンティに言われる。

ここで、あなたはドアを変更すべきだろうか?

 

感覚的には、一つハズレのドアが分かっていて、残りのドア2つのうち、1つが当たりで、1つがハズレであるので、

確率はどちらのドアも1/2。ドアを変更しても得はない、どちらでも良い、すなわち変更すべき、ということはない、と思う人が多いかと思います。


しかし、実際には、

・あなたが元々当たりのドアを選んでいた場合、すなわち1/3の確率で、変更するとハズレになってしまいます。

・あなたが元々ハズレのドアを選んでいた場合、すなわち2/3の確率で、残りの2つのドアのうち、ハズレのドアは司会者により開かれているので、開いていない残りのドアに変更すれば、必ず当たります。

すなわち、変更した方が、景品のあるドアを選択できる可能性が2倍高いので、変更すべき、というのが答えです。


二つ目の例は、患者数が全人口の1%の病気に関する検査についての問題です。

 

日本全国全人口のうち約1%が発症するAという病気があったとする。そして、病気A患者を99%陽性と判定できる検査があったとする。

また、その検査は、病気A患者ではない人のうち1%を陽性と偽陽性の判定を出してしまう。(陰性の人を99%陰性と判定できる)

要するに、精度が99%の検査があったとする。

さて、1万人の日本人にこの検査をしたとする。この検査で陽性と判定されたある人物が病気Aを患っている確率は何%か。

 

感覚的には、99%の精度の検査なのだから、陽性と言われたならば、99%陽性なのでは、と思ってしまいます。


しかし、実際に計算してみると・・・

まず、1万人の1%=100人が病気Aに罹患しています。9,900人が病気Aに罹患していません。

この検査で、罹患者のうち99%の99人が陽性と判定されます。1人が偽陰性で陰性と判定されます。

罹患していない者9,900人のうち99%=9,801人が陰性と判定されます。しかし、99人が偽陽性で陽性と判定されます。


検査結果をまとめてみると、

陽性者 198人(本当の罹患者は99人、偽陽性が99人)

陰性者 9,802人 (うち1人が偽陰性)

です。

すなわち、陽性と判定された人のうち半分50%は本当は陰性です。なので、この問題の答えは、50%となります。


このように確率が感覚よりも低いのは、病気Aに罹患している事前確率(検査前の確率)がかなり低いことに起因します。

もっと確率が低い病気では、もっと検査による陽性者のうち本当の陽性者の確率は下がっていきます。


以上の通り、確率を計算してみると、感覚と違ってくる、ということがあり、

より自分にとって良い判断をできる可能性が高まったり、正しく状況を把握できるようになります。


次回以降でも書きますが、この世界は確率で出来ています。

確率を正しく計算して理解することは、この世界の理を理解することになるのです。


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