記者純一が行く ​第1話「初めての会見」 

記者純一が行く 第1話 初めての会見
ある日のこと。新人記者の純一。科学のことはよくわからないけど、何かの間違いで、科学部に配属されてしまった。そして、最初の仕事が、ノーベル物理学賞受賞者の会見であった。よし、多くの人が興味を持ちそうな、研究者の人間味あふれるところを引き出すぞ!
天体物理学とくに宇宙ニュートリノの検出に対するパイオニア的貢献。受賞おめでとうございます。まず受賞の喜びを誰に伝えましたか?
そんなことより、今回の成果、新たに人類が宇宙を見る目を手に入れたということですよね!この新たな目、どんなものが新たに見えるようになってくるんですか?
そうなんです。新しい目です。今回観測したのは、超新星爆発、すなわち大きな星の最期の叫びです。超新星爆発は宇宙に重い元素をばら撒きます。重い元素がなければ地球はなく、私たちも存在しません。私たちを生んだ宇宙の歩みを新たな方法で見ることができる、ということです。
それでは。ニュートリノを使って宇宙の歩みを見れば、私たちの存在理由までたどり着けると思いますか?
宇宙を見る目、というだけでなく、この宇宙の現象を説明する理論の構築にも、ニュートリノを観測できることが、大きな貢献をしています。すなわち、この成果が、私たちの存在を支えている宇宙の成り立ちに迫る重要な一歩だと思っています。問題は、最後の答えを私たち人類が理解できるのか、というところだと思います。理解できるか、かぁ。ありがとうございます。
会見後の帰り道。純一は聞きたかったことを聞けませんでした。誰に喜びを伝えたか、聞けなかったな。。でも、「人類の存在理由」なんて考えたことなかったなぁ。
自宅にて。これ、今日純一が行った会見でしょ?妻はやっぱり日頃から感謝されたいわよね。そうそう、やっぱこう人間味のある話がいいよね。でも人類の存在理由がなんたら、って聞いている記者もいてさ。でもその話している時の先生が一番嬉しそうだったな。
そして夜。僕はなせ、この地球で、今、存在しているのだろうか。。。そんなことを考えながら、眠りに落ちた純一は、また明日からも、科学の研究成果の取材の仕事をしていくのでした。