初めまして。本サイトは、「科学エンタメ化計画」と称して、科学に興味がない・少ない人から科学が大好きな人まで、誰もが科学をエンターテインメントと捉える社会にしたいという思いで始めたものです。
本記事では、「科学エンタメ化計画」の着想までの経緯や目標について書こうと思います。
(2020年8月2日:追記&整理)
(2020年9月8日:追記)
「科学エンタメ化計画」とは?
1.日本の科学のおかれた現状
科学は人類にとって自由の象徴です。科学の探求は人類の知的欲求の現れであり、科学が人類の発展を支えてきました。しかし、現在では科学の探求には多額のお金がかかります。
特に日本では、高齢化で社会保障費が増え、経済成長もほとんどないため、経済成長にすぐには繋がらない長期的な科学研究に高額の投資をするのが難しくなっています。
このままでは、直近の科学研究競争の“次”に待っている競争に日本は取り残されてしまうでしょう。
2.科学への資金の流れ
現在の科学への主な資金の流れは、
・科学の成果で生活が豊かになるという市場価値を持つことを見越した民間等による資金投入と
・学術的な研究に対する国からの税金の投入
です。
税金は今後増えていくことが期待できない中で、(現在市場価値のない)学術的な研究への新しい資金の流れを作らないとなりません。
3.科学自身に市場価値を
民間企業や個人は、市場価値があるもの、または期待できるものにお金を投資します。科学自身が市場価値を持てば、民間企業や個人からの投資が期待できるということです。
科学自身に市場価値がついている例が既にあります。それが日経サイエンスやニュートンなどの科学雑誌です。科学雑誌は、生活に役立つ、とか関係ない宇宙の起源の話や素粒子の話も紹介しており、これを個人が購入する、ということは科学自身にも「面白い」という市場価値があるといえます。
しかし、現在、そういった科学雑誌は海外に比べると日本は本屋にもあまり並んでいないと聞きます。アメリカと比べ販売数も少なく、減少傾向です。また、その売り上げも研究者にどのくらい渡っているのでしょうか。。
でも、この科学自身の「面白い」を市場価値とした資金の流れの可能性に賭けてみたいと私は思ったのです。
4.「面白い」という市場価値
私自身、科学の面白さに魅せられた者の一人です。
「面白い」という価値でお金が、それも大金が動いているのが芸能界、お笑い界です。
ゲームや漫画、映画も同じように「面白い」をコンテンツとしていますが、有料コンテンツです。
しかし、科学の成果は人類共通の叡智とされるべきで、誰もがそのコンテンツにアクセスできるべきです。そこで、「面白い」を無償で提供している地上波と同じ仕組みで科学にも資金が流れるようにできればいいな、と考えました。
5.科学を楽しむ文化
地上波が無料で見れるのは、広告収入があるためです。そして、広告収入があるのは、多くの人の目に触れるからです。
では、多くの人の目に科学が触れるようになるにはどうしたらいいでしょうか。
多くの人に科学に興味・関心を持ってもらい、科学を楽しむ文化を育む
これが私のたどり着いた目標でした。科学を楽しむ文化ができれば、現在では市場価値がなく、「なんの役に立つのですか?」と思わず聞きたくなってしまうような科学研究による成果の発表に広告が載り、広告収入を研究者が得ることが可能になります。
6.科学エンタメ化計画の施策の一つ・科学絵本
科学に興味・関心を持ってもらうために、様々な方法があると思います。どれか一つで目標達成されるとは思いませんが、まずは幼稚園、小学校、中学校のうちに科学に興味を持ってもらうことが大切かと考え、科学絵本による科学の紹介を始めてみたのです。
他にも科学エンタメ化計画としてやりたいと考えていることを少し書くと以下の通りです。
広告掲載権の金融商品化
博士号取得者子育て支援金
ファッションとしての科学
など
どれも元の資金が必要になるため手をつけられないですが、挑戦していきたいです。
おしまい
2019年5月26日追記内容
科学エンタメ化計画 知ることの喜び
科学エンタメ化計画と称して、本サイトで科学絵本の作成や科学成果の絵付き解説を行ない始めたところですが、世の中では、様々な人が様々な想いで似た活動を行なっています。
そこで、今回は科学エンタメ化計画が目指すべきところを整理するために、目標と手段の整理をしてみようと思います。
1.科学エンタメ化計画達成への道のり
科学エンタメ化計画の大目標は、
①科学による「知」自身にお金を払いたいと思う人を増やす
ことです。
それが達成されるということはすなわち、科学による「知」自身に市場価値がある、という状況です。
そして、その一つ前の段階である、科学の注目度を利用した方法である、広告収入が科学で得られるような社会にするには、
上の図でいうと、一つ前のステップである
②科学の成果を知ることに楽しみを感じる人を増やす
ことが達成されれば良いでしょう。
科学の成果を知ることに楽しみを感じるには、
③科学の内容を理解している人を増やす
ことが必要です。
科学の内容を理解するには、
④「科学」に興味がある人を増やす
ことも重要です。
この一番初めのステップの「科学」は、すごい簡単な「こんなのがあるんだ〜」程度の表面的な「科学」でいいです。
2.手段の整理
現在でも多くの人が様々な活動をしています。私の上記の目標に基づいて整理すると、
最初のステップの
「科学」に興味がある人を増やす
方法として、
学校教育
家庭教育
科学絵本
科学者ドラマ
科学館
でんじろう先生
などがあります。「こういうのがあるんだ〜」と興味を持つ程度には良い手段が結構充実しているな、と思います。本サイトで作る科学絵本も、一つには「こういうのがあるんだ〜」と科学に興味を持つきっかけを作れれば、と思っています。
しかし、これは人の価値観に切り込む問題であるため、大きな最初の壁でしょう。
そして、
次のステップの
科学の内容を理解している人を増やす
方法として、最初のステップに加えて、
教育系YouTuberの活動
などがあるでしょう。こちらも、結構充実していると思います。
特に、この二つ目のステップは、コンテンツの充実に対して一番効率的に効果が見えるところではないか、と思います。
本サイトでも、科学絵本のような形のものを作って、科学の内容を理解する助けとなれば、と思っています。
そして2つのステップを通過して可能となる、
科学の成果を知ることに楽しみを感じる人を増やす
ための活動をしている人は少ないように感じます。科学の内容を理解したら、自然と新たな科学の発見を知ることに喜びを感じるようになる人もいるかと思いますが、科学の成果を知ることに喜びを感じる、とまではならない人も多くいるでしょう。ここも価値観に切り込む困難な壁になります。
ここが「科学エンタメ化計画」の目標を達成する上で一番難しく、一番大切な部分だと思っています。
3.知ることに喜びを感じてもらうために
科学による成果を知ることの喜びを、どうやって多くの人に知ってもらえればいいのでしょうか。この答えはわかりません。色々と試していくしかないと思っています。
一つの仮説としては、
科学による成果を知ることの喜びは、漫画やアニメ、SF小説や映画、RPGなどに惹き込まれるのと同じように、、非現実的だったり壮大だったりと、
現実社会とはかけ離れた世界を見せてくれる点
にあるのではないのか、というものです。
この仮説に従えば、科学の情報を伝えるときに、その壮大さを伝え、現実から離れた別世界に惹き込むことが重要ということです。
まずはこの仮説を前提とし、本サイトで科学を紹介する時には、その科学の壮大さも伝え、現実社会から離れた世界を見せることができるようにしたいと思います。
結論
科学絵本によって、
・科学に興味を持ってもらう
・科学の内容を理解してもらう
・科学の壮大さ、非日常感を感じてもらう
の3点をまとめてできるようなサイトにしていきたいと思います。
最終目標の
科学による「知」自身にお金を払いたいと思う人を増やす
ことが達成されれば、科学の「知」にアクセスすることがお金儲けにつながり、科学に触れることのインセンティブが生まれるので、自律的なサイクルが回り始めるでしょう。
そこまで行くといいな〜。
おしまい
(2020年8月2日追記:
「壮大さ」、「非日常感」だけでは響かない人たちも多くいる、という考えに至っています。自然(科学)に対する興味が少ない人たちは、社会(人)に対する興味は強いのでは、という仮説から、人間味・ドラマのあるものと科学の接点を強くしていく必要があると考えています。
また、人間味・ドラマに限らず、それぞれの人が持っている興味の箱に入っているものとのつながりを、それぞれの人が科学に感じてもらえれば、科学を新たに箱に入れてもらえるのでは、と思っています。色んなものとのコラボを挑戦中です。)
2020年12月16日追記内容
科学エンタメ化計画のミッション
今年の3月から科学エンタメ化計画を開始し、はや9ヶ月。 未だに試行錯誤を重ねながら、どういった手法が、本計画の目標達成に適切なのか、悩み続けています。 そんな中、最近同じ方向を向いた取り組みをされている一般社団法人アカデミックグルーヴ様とお話しする機会があり、 良いヒントをもらったり、自分でも方向性や戦略の試行錯誤を重ねている中で、科学エンタメ化計画のミッションが整理できたので、それをまとめてみたいと思います。 大きなトレンドを作る 当初、科学の「知」自身に市場価値がつくには、 ①多くの国民が興味をもち ②科学の成果を理解して ③知ることに楽しみを感じる ようになる必要があると考えていました。 しかし、この流れを考えたところで、この一段階目の多くの人に興味を持ってもらうというところがまず難題です。 多くの人に興味を持ってもらうためには、 科学のことに興味を持つってイケてるよね、という大きなトレンドを作り出さないといけないわけです。 そのためには広い範囲にアプローチする必要があります。 そこで、科学として今まで自然科学を念頭にしていましたが、人文科学・社会科学も範囲に入れ、トレンドが生まれる可能性を高めることが重要です。 そして、二段階目の、理解してもらう、という点については、理解してもらおうと、説明メインのコンテンツを作っていては、理解できる人と理解できない人との間に境界ができてしまい、大きなトレンドを作ることはできません。この「理解してもらう」という目標が、一段階目の興味を持つ人を増やす=大きなトレンドを作ることの障壁になっているわけです。 説明して理解してもらうことには限界があり、なんだか楽しそうだな、と思える内容にすることの方が重要だと、最近は考えて、記者純一シリーズを作り始めていたところです。 いかに、なんか面白そう、と多くの人が思えるコンテンツにし、科学を面白そうと思ってる人たちはイケてる、っていうトレンドを作り出せるか。 これが科学エンタメ化計画のやるべきことなのです。 試行錯誤を繰り返す 科学エンタメ化計画がやらなければならないことが、大きなトレンドを作ることがだと整理された上で、 それを達成できる質の高いコンテンツをじっくり練って練って、温めるべきなのか、というと、それではダメです。お粗末でも良いから試行錯誤を繰り返して発信していくべきだと考えています。 昨日ツイッターで目にした徒然草第150段の言葉が、とても心に刺さりました。
能をつかんとする人、「よくせざらんほどは、なまじひに人に知られじ。うちうちよく習ひ得て、さし出でたらんこそ、いと心にくからめ」と常に言ふめれど、かく言ふ人、一芸も習ひ得ることなし。 未だ堅固かたほなるより、上手の中に交じりて、毀り笑はるゝにも恥ぢず、つれなく過ぎて嗜む人、天性、そ骨なけれども、道になづまず、濫りにせずして、年を送れば、堪能の嗜まざるよりは、終に上手の位に至り、徳たけ、人に許されて、双なき名を得る事なり。 天下のものの上手といへども、始めは、不堪の聞えもあり、無下の瑕瑾もありき。されども、その人、道の掟正ただしく、これを重くして、放埒せざれば、世の博士にて、万人の師となる事、諸道変るべからず。
芸を身につけようとする人が、よく出来ないうちは人に見せずに隠れて練習して、身につけてから披露した方がカッコいい、というけれど、そういう人は一芸も身につけることはない。 まだ未熟なうちから、上手い人たちに交じり、笑われながら練習する人が、他に並ぶ人のない芸を身につけることができる。 という話です。 まだ大きなトレンドを作り出せるようなコンテンツではないけれども、 試行錯誤を重ねながら、恥をかきながら、発信を続けていきたい、と思います。 日頃からどうしたら良いか悩んでいたところに、一般社団法人アカデミックグルーヴ様とのお話しがきっかけで、ここまで整理ができましたこと、感謝いたします。 また、科学エンタメ化計画はアカデミックグルーヴ運動に強く賛同し広めていきたいと考えております。
おしまい
2020年1月13日追記内容
科学エンタメ化計画とは何かを、改めて整理する
科学エンタメ化の必要性
現在、科学は先行投資の対象と考えられています。
将来社会的価値を生み、生活を豊かにし、GDPも押し上げるもの、と。
近代まではそれでよかったと思います。力学や電磁気学、熱力学などが根底にある科学は、その成果がどう社会的価値を生むか、見通しが立ちやすかったからです。
しかし、量子力学や素粒子論、相対論などで説明されるようになった現代の科学は、それが社会にどう価値を生むのか、わからないものが増えてきました。
各分野の研究者も、ただ「知りたい」という欲求で研究していることが多いので、誰にもこの研究の成果が社会にどう役に立つか説明できない、ということが多くあります。
このままでは、科学と社会はどんどん離れていき、先行投資の対象としてはリスクの高すぎる商品になってしまい、科学を進めるのに不可欠な資金が集まらないことになってしまいます。社会に役に立つ可能性もあるのに、です。
科学は、「分からないことを解明して知りたい。」、「出来ないことを出来るようにしたい。」という人間の本能に従った活動です。
これを社会に役に立たない、といって見捨てていったら、人間らしさも失います。
そこで、この科学という人間の活動自体をエンタメとして市場価値のあるものにしてしまおう、というのが、科学エンタメ化計画です。
分からないことを知りたい、という人間の欲求を満たす、科学により生み出された知自体に市場価値を持たせることが、今やらなければならないことだと私は感じているのです。
科学エンタメ化の手法について
現在でも、科学雑誌などのように、直接科学による知を享受する人がお金を払う、という形で、科学による知に市場価値はあります。しかしこれはごく僅かです。科学雑誌の存在を知らない人が沢山います。科学による知は多くの人で共有されるべきものです。地上波にように、誰もが無料でアクセスできるものであるべきなのです。
なので、科学による知も地上波と同じように、広告収入で市場価値を持つようにすることを第一の目的としています。
その一手法としてまずは、科学絵本の作成に取り組んでいます。
科学絵本で、科学による知を知ることって面白そう、って思ってもらえるようにすることを狙っています。
絵本の方向性
当初は、ただ最先端に科学の成果を説明することを中心にしていましたが、説明する、という行為は、それにより理解できる人と理解できない人に間に境界線を引いてしまうから、大きな流れを作るには良くない、と学びました。
実際に、なぜ知的好奇心という誰もが持って生まれている欲求に対して、科学がそれを満たしてくれる対象だと多くの人が捉えられないか、というと理解できないからです。
中学生になると、「理科が嫌い」とアンケートで答える割合が小学生よりグンと増えます。
なので、説明をせず、理解を求めない、まだ科学を嫌いになっていない小学生以下向けの絵本であるべきだ、と現在は思っています。
ただし、なんだか知ることって面白そう、と思える内容にする必要があります。
知ることが楽しいんだ!かっこいいんだ!と思え、かつ、新しい知識を得られなくても、理解できなくても楽しめる内容。
このバランスが難しいと感じています。
これからと野望
これからも試行錯誤していきますが、
将来的には、絵本の作成はやめ(絵を描くのが苦手なので)、都内に子供達が放課後遊びに集まれるような、大人が安心して遊びに行かせられるような施設を作りたい、と思ってます。その施設に、科学による発見を楽しめるような仕掛けをたくさん施し、体を動かすのが好きな子も、本を読むのが好きな子も、ゲームするのが好きな子も、みんな知らずに、科学による知を知ることを楽しく感じるような、施設を莫大なお金が貯まったら、作ってみたいです。
おしまい。
2020年9月8日追記
科学写真館について別記事にもまとめました。
その中でも触れていますが、
科学エンタメ化計画は
科学をエンタメのように楽しもう!
という計画であると同時に
科学によって日常をエンタメのように楽しもう!
という計画でもあるんだと気づきました。
どちらも、結果的に科学を知ろうとする人が増え、科学の活性化になります。
科学って楽しいよ、って話して広げていくよりも、
科学で日常って楽しくなるよ、って話して広げていく方が、ハードルは低そうですね。
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