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シャツの穴と科学

更新日:2020年10月29日

 こんにちは。

 何故か、シャツの首元、後ろ部分によく穴があきます。



 なんか変なエキスが出ているのでは、と言われたこともありますが、

本当によく穴があくので、何か原因があるのでは、と思い、原因を極々簡単にですが、科学してみました。


首の後ろだけに穴があく原因

 まず穴があくというのは、

裂ける 又は 溶ける

かです。

 そして特定の場所だけに穴があくというのは、

裂けるという場合には、脱ぎ方の問題や、裂けやすさの違いの問題

溶けるという場合には、溶かす原因物質の分布の問題です。


シャツの組成

 穴のあいているシャツの組成を調べてみると、いずれも「綿」が含まれていました。

綿は植物性の繊維で正体は「セルロース」です。

 セルロースはC6H12O6のβグルコースが連なったもので、αグルコースが連なってできるデンプンとは兄弟みたいなものです。


 デンプンについては、人の唾液に含まれる酵素=アミラーゼによって分解できます。

しかし、セルロースはアミラーゼでは分解できません。人の持っている酵素ではセルロースは分解できないのです。

 そのため、セルロース(食べ物としては「食物繊維」)は消化されずに排便されます。その際には、繊維状のまま内臓を通っていき、色々と絡めとるため、便秘に効くそうです。


 セルロースを溶かすことができるのは、セルラーゼという酵素です。

 セルラーゼは一部の細菌が作り出す酵素で、牛のような動物は、体内にそのような細菌を共生させることで、セルロースも分解しているようです。


洗剤

 さて、汗にはセルロースである綿を溶かす成分はありません。

しかし、繊維に絡まった脂質などの汚れを取り除くため、セルラーゼが改良されたものが洗剤に含まれています。

 繊維に絡まった汚れを取り除くために、セルロースでできた繊維を分解して、汚れを落としやすくするのです。


 例えば、アタックに含まれるアルカリセルラーゼという酵素は、セルロースが綺麗に整列した結晶領域には作用しませんが、汚れが絡んでしまい、グネグネっと非結晶領域になった部分だけに、選択的に作用します。つまり、汚れがついた部分のセルロースを分解してしまうのです。

(画像出典元の文献)


 そのため、汚れがよくつく部位の(植物性)繊維、つまり綿は、洗剤に含まれるセルラーゼによって分解されて脆くなるのです。

 念のためですが、汚れていない部分には、このセルラーゼは作用しないため、服全体が脆くなってしまうことはないそうです。このような洗剤に含まれる酵素の開発も科学の力によるもので、アタックは理化学研究所の成果のようです。

洗剤の開発ってすごい!


結論

 以上のとおり、一つ有力な仮説ができました。

 

植物性の繊維でできたシャツは、首の後ろという肌に常に触れ、汚れがつきやすい部分だけ、洗剤に含まれるセルラーゼによって分解されて脆くなり、

その結果、穴があく、又は、穴があきやすくなり、脱ぐ際に裂けてしまう、と考えられる。

 

以上の仮説を検証するためには、

・一度も着る事がなく汚れていないシャツを繰り返し洗剤で洗った場合にどうなるか

・何度シャツを着ても洗剤で洗濯しなかった場合にどうなるか

・シャツを汚して洗剤で洗濯する、ということを、着脱を一度もせずに繰り返した場合にどうなるか

ということが必要かと思いますが、私はここまででおしまい。


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