- rice
Why Map (近況報告4)
近況報告第4弾。
最近は科学エンタメ化計画として絵本を作成したり、科学写真館の投稿をしたり、
という事ができておらず、
一方で色々考えていることはあったために始めた近況報告もひとまずラストの予定です。
近況報告3でも触れたとおり、
知識や経験、アイディアは記し、語ることで、
自分が到達できなかったところまで、誰かが辿り着いてくれる、という想いで、
科学エンタメ化計画の考えなどを発信しています。
今回は特に、私が達成できなくても、誰かに達成してほしい、最近考えている今後の計画について紹介します。
”何が分かっていないのか”を知らない
私は日経サイエンスを定期購読して読んでいます。
日経サイエンスでは、毎月様々な分野の研究の進展が紹介されており、
その中には、
”そもそもそれは分かっていなかったのか!”、というものだったり、
”確かにそれは謎だね!”というものだったり、
今まで自分だけでは、疑問として捉えることができていなかったものがたくさんあります。
そしてある日、私はこの、"何が分かっていないのか”を知らない状況を改善することって、すごい重要なのでは、と思ったのです。
科学エンタメ化計画の理念、目標はこちら(科学エンタメ化計画とは)のブログ記事で紹介しているとおりですが、
多くの人に、科学に興味関心を持ってもらうには、
科学者が何をしているのか、というのを知ってもらうことが重要だと思います。
現状では、多くの人が、研究者が今、何を解明・解決しようと研究しているのか、というのを知らないと思います。
研究されているトピックとして知られているものは、ファンの多い宇宙や人工知能に関するものや、自分たちの命に関わる医療・人体に関するものばかりではないでしょうか。
しかし、それ以外にもあらゆるトピックの研究がされています。
それら知られていない研究に対しては、
多くのファンからの寄付が集まることもなく、
研究成果に対する注目度も集まらずに広告収入獲得の機会(エンタメ化)もないでしょう。
例えば、ハエトリソウは1回の刺激ではなく、2回連続の刺激があった時だけ、葉を閉じる仕組みを持っており、これにより、水滴やゴミが落ちただけの場合と、獲物を区別していますが、この2回連続の刺激という部分には1回目の刺激を”記憶”しておく必要があり、この”記憶”をどのように行なっているのか、については最近まで分かっていませんでした。
(刺激に応じて葉の中のカルシウムイオン濃度が上昇し、刺激の後に減少するものの、濃度が戻る前のある時点までに2回目の刺激があった場合だけ、ある閾値を超える、というのが”記憶”の仕組みだという論文が発表されました。)
私は、ハエトリソウが単発の刺激と連続の刺激を区別する(1回目の刺激を記憶する)仕組みが分かっていないことや、その仕組みを解明するための研究がされていることを知りませんでした。
知らなければ、興味を持つことさえできません。
好奇心の出発は、まず未解明・未解決の問題を発見し、知るところにあります。
多くの研究者は、その未解明・未解決の問題を自ら発見して研究テーマとし、研究を進めていることでしょう。
しかし、科学エンタメ化計画の目標を達成するためには、
研究者だけが、興味関心を持っていればいいわけでなく、
多くの人に興味関心を持ってもらう必要があります。
すなわち、多くの人にまず、"何が分かっていないのか”を知ってもらう必要があるのです。
そうすれば、一部の人はその問題の解明・解決に興味関心を持ち、
応援したくなって寄付したり、寄付しなくても注目し、研究者が広告収入獲得の機会を得られたりするでしょう。
まずは、その出発点、"何が分かっていないのか”を多くの人で共有したいのです。
Why Map
私が調べた限りでは、一般の人に向けて現在未解明・未解決の問題を網羅したものはないように思います。(研究者や研究機関に向けた、研究者ごとの研究分野や過去の論文実績等をまとめたサイトは存在しますが、どちらかというと、実績中心であり、まだ誰も手をつけていないような、未解明問題は欠落しています。もし一般人向けの未解明問題を網羅した既存物があれば、教えてください!)
これ(Why Mapと命名)を作りたい、というのが科学エンタメ化計画の今後の目標です。
一般の人がパッと見て、
”これってなぜこうなっているのか分かってないんだ!”
というのが全て分かるような3Dデザインを用いたマップを作りたいのです。
その中に興味を引くものがあれば、ファンになったり、自分が研究者を目指したり、と繋がっていくと思うのです。
しかし、Why Mapで未解明・未解決問題を網羅するには、かなりの労力が必要です。
また、未解明の問題というのは、何かを解明すると新たに生まれることがよくあります。
そのためWhy Mapは更新を続けていく必要があります。
できれば、"Why"が解明されれば、その答え、"Because"も追記していきたいです。
また、過去の解決済みの"Why"を"Because"と同時に見ることができる機能も作りたいです。
イメージとしてはWhy Mapは時間軸を持っていて、時間軸の位置を選択すると、当時のWhy Mapを見れる、という感じです。
例えば、ニュートンの時代に時間軸を移せば、"なぜ月は落ちてこないのか”といった”Why"が見ることができるイメージです。そしてクリックすると、"Because"が分かります。
これが完成すれば、過去の基礎研究の成果が今にどうつながっているのかも分かりますし、
今研究者が何に取り組んでいるのか、も分かり、興味関心のきっかけになりますし、
研究者を目指す学生が、Why Mapを見て研究テーマを考えることができるようになるかもしれません。
研究者も、新しい研究アイディアをWhy Mapを通して思いつくかもしれません。
Why Map上のWhyには研究者の名前や研究機関を紐付けて、挑戦中の人や機関がわかるようにすれば、研究自体に興味が湧かなくても、人に興味を持つ人もファンにできるかもしれません。
まだまだ色々とアイディアはあります。
ただ、現在の私の資金、時間、技術では到底Why Mapを完成させることができません。
できれば自分で作りたいですが、仮に本記事を読んで、Why Mapに魅力を感じ、資金も時間も技術もある人がいれば、その人に作って欲しい、という想いで、ここまでアイディアを本記事に紹介しました。(もしそのような人が現れたなら、まだまだアイディアはあるので、私を仲間に入れて欲しいです。。。)
Why Mapは完成すれば、とてつもない知的資産価値のあるものになると思います。
できれば、これはフリーでオープンなデータベースとして完成させたいです。
なので事業化も難しいのです。
一番のネックは資金。
一体Why Mapが実現するのは何十年後か・・・
夢は夢のまま、終わるのか
どうにか実現する道を模索して行きたいと思います。
おしまい